人的資本経営におけるエンゲージメントの向上

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昨今、人的資本経営が注目されるなか、株主含めたステークホルダーからは中長期における企業成長への期待が高まっている。このような流れを踏まえ、企業の持続的な成長や企業価値を高める要素として、ここ近年、エンゲージメントに対する取り組みの重要性が高まっている。企業のエンゲージメントを高めるうえでは、職場のキードライバーであるマネジャーの関わりは事欠かせない。マネジャーの役割においてとりわけ着目したいのは「組織の活性化」である。組織の活性化とは、自分がマネジメントする組織を機能させ、強化・発展させ続けることである。具体的には、自組織が請け負った目標に向けて、メンバー全員の心に火を焚きつけるとともに、一人ひとりの力を組織の力としてまとめ上げて効果的に発揮させ、目標達成のゴールに向けて組織とメンバーを維持・成長させ続けることである。
「エンゲージメント」においては、諸説さまざまな捉え方や定義があるが、当社においては「エンゲージメント」は結果であり組織の状態と捉えている。つまり、直接的にエンゲージメントを高めるということではなく、何らかの施策を講じることで、結果として組織のエンゲージメントが高まるという認識である。では、その施策とは何か、何をするとエンゲージメントが高まるのか、当社では、マネジャーの役割に注目し、マネジャーの役割がきちんと機能しているのか、つまり組織が活性化している状態なのか、当該組織に所属する社員の目を通して客観的に実態を把握し、正しいことを正しく対処していくことが重要と考え、組織活性化のための観点を定義した。

「オーガニゼーション・エンハンスメント・チャートⓇ」(商標登録:第6676378号)

前述のとおり、マネジャーの役割として組織を活性化する観点として、2つの力と2つの熱量による、4領域・16の要素で構成する。

[1]個人の力の領域

個々人に期待されている戦略の具体的実行に必要となる力。それは自分の任務(請け負った役割)を最後までやり遂げる力(所謂「GRIT」)であり、一言で言うと《遂行力》

  1. 考える・・「悩む」のではなく、事実に基づき、道筋立ててきちんと思考する力
  2. 自ら動く・・他者から言われて動くのではなく、主体的かつ自律的に行動する力
  3. 人を巻き込む・・遂行のために必要な助けを適時適切に調達できる力
  4. やり抜く・・困難ぶつかっても、諦めることなく、さまざまな策を考え、粘り強く取り組む力

[2]個人の熱量の領域

個人の有する力(能力)を適時効果的に発揮するために必要となるエネルギー。それは自分が組織の一員であるという実感、所謂「メンバーシップ」をベースとしている。一言で言うと《所属感》

  1. 価値共感・・組織が大切にしていること(使命や経営理念)を理解・納得し、実現したいという想い
  2. 処遇満足・・評価に対する納得度、自分のポジションや給与に対する満足度
  3. 自己効力感・・任務を上手く遂行し、期待される成果を出すことに対する自信
  4. 役割認識・・自分の担う役割(期待、成すべきこと、存在意義)に対する理解とコミットメント

[3]組織の力の領域

個人の力を組織の力とするために、効果的に繋がり合う力。一言で言うと《連携力》といえるが、単に報連相することや協力することだけではなく、互いの個性や得意分野を繋ぎ合わせ、相乗効果と組織の知恵を生み出すことも含む。

  1. 声を掛け合う・・同じ目標に向け共に働くメンバーに配慮し、全体の状況や進捗を察知する力
  2. 情報をつなげる・・情報の疎密や誤解の無いようにメンバー同士で情報を配り合う力
  3. 力を合わせる・・全体の目標達成に向けて、メンバー相互に不足を補い合い、協力できる力
  4. 知恵を出し合う・・メンバー/組織の課題解決に向け、自分の経験や知恵を出し、共に考えられる力

[4]組織の熱量の領域

組織の連携や相乗効果を促進させるために必要となる組織のエネルギー。それは「共になら達成できるという信念」、互いに対する信頼を核として生み出されるものであり、一言で言うと《連帯感

  1. 関係満足・・メンバー相互に個性や価値観を大切にし合い、上下左右でオープンに意思疎通ができ、心理的な安心を感じられていること
  2. 相互信頼・・メンバーは皆、誠実であり、頼れる/任せられる存在であるという実感を相互に感じていること
  3. ビジョン共有・・組織のビジョン(戦略実現後の姿)と実現までのプロセスを理解・納得し、同じ想いをもっていること
  4. 規範順守・・「べき/べきでない」のルールや考え方(価値観)が明確で、それをメンバー皆が納得して守っていること

そして、これら16の要素を踏まえ、活性化のために大切なのは「マネジメント」と「リーダーシップ」である。個人の力や組織の力が高くても、個人の熱量や組織の熱量が高くても、それだけでは一時的に組織の状態が良くなったとしても、継続性ある組織の活性化にはつながらない。組織全体の力として発揮させ続けるためにもマネジャーの強い「リーダーシップ」と有効な「マネジメント」が必要である。

この「オーガニゼーション・エンハンスメント・チャートⓇ」(商標登録:第6676378号)では、組織活性化の4領域16の要素に加えて、マネジャーの「リーダーシップ」と「マネジメント」の状態も同時に明らかにすることで、組織活性化に向けて正しいことを正しく対処する手立てを導き出すことが可能となる。

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