「心技体」における能力開発の考え方

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環境変化が著しい現代において、企業の競争優位性を担保するうえでも社員一人ひとりの能力開発は事欠かせない。ただやみくもに能力開発を行うのではなく、きちんとした基軸や観点を持ち、意図的に能力開発を行うことが重要である。当社では、ビジネスにおける能力開発の一つの考え方として、心・技・体という3つのカテゴリーを基軸に考えている。心技体とは、主に柔道などの格闘技においてよく使われる言葉だが、これからのPurpose経営や健康経営が主流である今日においては、単に「技」を磨くだけではなく、「心」と「体」も含め、心技体のコンピタンスをバランスよく開発することが混沌とした世界を勝ち抜いていくビジネスでも重要と捉える。

  • [心]所属する企業の一員としての姿勢・スタンス
  • [技]自らに課された業務の推進・課題解決のための能力
  • [体]継続的成果産出のための心身の健やかさ・組織内の連携

「コンピタンス・デベロップメント・チャートⓇ」(商標登録:第6676377号)

当社では、ビジネスにおける心技体を基軸においた能力開発の考え方として、「コンピタンス・デベロップメント・チャートⓇ」を提唱し、心技体のそれぞれのカテゴリーを3つの構成要素として定義し、「9BOX」で整理した。

[心]
  1. 視野・・視界の広がり、視界の距離
  2. 視点・・観点の多さ、観点の多様さ
  3. 視座・・使命・役割の認識、基軸の確かさ
[技]
  1. 技術・専門能力・・担当業務・役割の遂行に必須の能力
  2. 人的能力・・人間関係構築能力、リーダーシップ
  3. 概念的能力・・物事の本質の理解、抽出と言語化能力
[体]
  1. 活力・・レジリエンス、ポジティブさ、前向きさ
  2. 体力・・栄養・運動・休養の自己コントロール
  3. 組織連携力・・職場環境の維持、改善、連携や参画、協働

そして、9BOXで整理したコンピタンスを、日本の伝統的コンセプトである「守破離」をベースに開発ステップを明らかにした。守破離は千利休による『利休道歌』の「規矩作法 守り尽くして破るとも離るるとても本を忘るな」からとられた考え方と言われるが、「守」は師匠の教えをしっかりと守り修行を重ね型を身につけるステップ。「破」は守で身につけた型をベースに自分なりの工夫を加え、より自分に合った型に変容させていくステップ。「離」はさらに実践を重ね、理解を深め、その先に師匠から学んだ型から離れ、自分独自の新たな型を創り出し、独り立ちするステップと考えられる。今日の企業組織に属するビジネスパーソンのコンピタンスの開発においては、守破離そのままではカバーできないステップがあると考え、守の前に「習」を、離の後に「継」「匠」を加え、コンピタンスの開発・成長を6Stepとしたのが特徴である。習は「ひたすら吸収するステップ」。具体的には、担当業務に必要な知識や技能を上司・先輩からの指導を受け、吸収し、型どおりの遂行は問題なくできているということ。継は「次世代を育て、成果を連綿と継続させるステップ」。具体的には、上位方針を具体的な戦略と目標に落とし込むとともに、着実かつ継続的に成果を出すために、体制の刷新・整備、ルールの設定・変更、次世代の育成と能力発揮を強力に先導しているということ。匠は「自らの使命を自覚して、それを果たすステップ」。具体的には、社会全体の変化を見据え、理念にしたがい忠実に経営しつつ、使命(Purpose)を果たすための会社のあり方を考え、それを自組織の方向性(あるべき姿)として明確に示し、浸透させるとともに、実行ための資源の獲得と配分、環境整備をしているということ。

当社では、心技体をバランスを良く開発し、成長することが人材の能力開発において大切なことだと考えている。そのためには、「習・守・破・離・継・匠」のそれぞれのステップに、企業において適切な9BOXの定義を設定し、それを羅針盤として意図的、計画的、継続的、体系的に人材の能力開発施策を設定していくことが重要と考える。

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